〜防音室に火災報知器は必要か〜
こちらのページでは、これから防音室の導入を検討されている方向けに、防音室内に火災報知器を取り付ける必要があるのかどうか、考え方をご紹介して参ります。
〜基本的な考え方〜
ヤマハのアビテックス、カワイのナサール等、ユニット式防音室は、
・床、壁、天井、ドア、換気扇があり
・密閉された空間である
という点から、基本的には個室(ひとつの部屋)とみなされます。
*サイズ、仕様によっては個室ではないと判断されることもあります。
*だんぼっち等の簡易防音室(すぐ破って外に出られそうなもの)に関しては、個室とみなされない場合もあります。
消防法および各地方公共団体の定める火災予防条例等により、すべての住宅の”各個室”に住宅用防災機器(火災警報器)の設置およびその維持が義務付けられているため、防音室内にも火災報知器の設置が必要になります。
*但し、罰則規定はありません。
〜火災報知器を付けないリスク〜(特にマンション)
万が一防音室内で火事が発生した場合、火災報知器が付いていないと火災保険が降りない可能性が高いです。
また延べ面積500平方㎡以上のマンションですと、”自動火災報知設備”という特殊な火災報知器の設置が義務付けられており、管理組合から設置を求められた場合、設置に対応しないと防音室の撤去を求められたり、最悪の場合退去を求められる可能性があります。(基本的に賃貸契約書や売買時の重要事項説明書に記載される内容になります)
防音室設置の申請をしていなくても、消防点検時に確認、発覚し、設置を求められるケースがあります。
*自動火災報知器というのはマンション全体で管理されている、設置に消防設備士の資格が必要な火災報知器です。取り付けに3〜7万円程度、取り外しに3万円程度の費用がかかります。
〜火災報知器設置にかかる費用〜
一軒家、延べ面積500㎡以下のマンション、アパートであれば、電池式の火災報知器が3,000円程度で購入でき、ご自身でも取り付け、取り外しが可能です。
問題は延べ面積500㎡以上のマンションで、”自動火災報知器”という建物単位で一括管理されている火災報知器は、消防設備士による取り付け工事が必要な為、取り付けに3~7万円前後、取り外しに3万円程度の費用がかかってしまいます。
新しい大型マンションやタワマン等では、これに加えスプリンクラー設備の設置が必要になる場合があります。
〜防音室で火事が起きるケース〜
当社で知る限り、防音室内で火事が起きたという前例はありませんが、可能性があるのは下記の様なケースになります。
・電気系統のトラブルによる火災
・エアコンの故障、トラブルによる火災
・タバコの火
〜実態はどうなのか〜
当社にご依頼をいただき、移設や解体でお伺いした際、火災報知器が付いている防音室はかなり少なく、割合としては5%程度、3畳以上の大きい防音室が多いです。
95%の防音室に火災報知器がついていない理由として、
・設置義務の消防法が知られていない
・罰則規定が無いので、お金を掛けてまで取り付ける動機がない
・防音室メーカーが設置を推奨しているのみで義務付けていない
・一軒家、延べ面積500㎡以下のマンション、アパートは消防点検が無く、発覚しない
・延べ面積500㎡以上のマンションで発覚しても、0.8畳〜2畳程度の防音室であれば見逃されるケースが多い
以上の様な点が挙げられます。
〜当社の見解〜
以上を踏まえた上で、当社としましては全ての防音室に火災報知器の取り付けを推奨します。
一軒家、延べ面積500㎡以下のマンション、アパートであれば、比較的安価な電池式火災報知器が簡単に取り付け可能です。設置時にご用意いただければ、無料で取り付けさせていただいております。
延べ面積500㎡以上のマンションの場合、防音室が”個室”としてみなされるかどうか、担当者によって判断が分かれます。
事前に防音室のサイズ等の情報を申請して、火災報知器の設置が必要かどうか確認を取りましょう。
消防点検等で発覚した場合、防音室の撤去や退去を求められる場合があります。
〜マンションで火災報知器の設置を求められたが、免れたケース〜
・ケースその1
・お客様から”消防点検で防音室に自動火災報知器の設置を求められた”とお電話がありました。
お客様は工事の費用や手間を鑑みて、なるべく工事をしなくて済む様に点検者に交渉をしました。
すると点検者は”防音室の天井がすぐ外れるなら、個室としてはみなさず、報知器は設置しなくてもよい”と言いました。
その防音室はヤマハのアビテックス3畳で、プラスドライバーで金具を外し、天井を外せる仕様だった為、天井を外して点検者に見せたところ、報知器をつけずに済みました。
・ケースその2
・お客様から”消防点検で防音室に自動火災報知器の設置を求められた”とお電話がありました。
お客様は工事の費用や手間を鑑みて、1.2畳の小さい防音室だし、中で火を使うこともないと点検者に交渉をしました。
点検者はせめて電池式火災報知器を取り付けて下さいと言いました。
お客様は電池式火災報知器を購入、ご自身で取り付けられました。
*これらの作業員の判断はグレーであり、すべての点検員が同じ判断をするとは限りません。
消防法においても、防音室が個室なのかどうか規定は無く、点検員の判断に委ねれる部分が大きいです。